【ネタバレ注意】自分らしく生きちゃダメ!?芥川賞「コンビニ人間」あらすじ要約

ことり
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第155回芥川賞受賞作、以前から気になっていた本です♪

今回、読む機会に恵まれ、とても良かったのでご紹介したいと思いますが、

その前に・・・

芥川賞とは?

純文学の新人賞で最高峰の賞
娯楽性の高い大衆文学に贈られる直木賞に比べ、美しい日本語、芸術性重視と言われる
芥川賞の作品といえば、文学そのものの芸術性や表現形式を重んじられているせいか読みにくいという評判も・・
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しかし、こちらの作品は先入観を覆す読みやすさで、

一気に読めてしまいました

「コンビニ人間」って、どんな内容?(ネタバレ注意!)

主人公の古倉恵子は、かなりの変わり者
子供の頃から発言や行動が、学校でも問題になる位に奇異だった
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家庭環境に問題があるのではと、たびたび学校に呼び出された母親も「なんで、恵子にはわからないんだろうね・・・」と頭を抱えるほどでした。

自覚なく問題行動をしてしまう恵子は・・・

「どうしたら治るのか」、父母が相談しているのを聞いて、自分は何かを修正する必要があると考えるようになる
そして、周囲を困らせる自分の言動と行動に蓋をするようになって、大人がほっとしているのを確認する
行動せず、黙るという処世術を用いながら、小学校、中学校、大学へと進む

コンビニでバイトを始めた大学時代に転機が訪れる!

「離れていてもコンビニと私は繋がっている」と思えるくらい夢の中でも仕事をし、「コンビニの店員」でいることが、彼女の存在意義となる
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コンビニ勤務の為に爪を切りそろえ、体調管理し、「コンビニ人間」として生まれ変わった恵子でしたが・・・

彼女が社会に適合していると感じられるのは「コンビニ店員」でいる時だけ

大学を出ても就職せず、同じ店で働き続ける恵子

気がつけば、コンビニバイト歴は18年! 

独身&彼氏なし、36歳の女性となっていた

ある日、新入りバイトとして同世代の男性白羽がコンビニにやって来た。それ以来、恵子の日常生活に変化が訪れる・・・

〜主人公「古倉恵子」を取り巻く主な登場人物〜

登場人物

「社員でもないアルバイト」であることに好奇の目を向ける周囲

普通の就職先で正社員を目指さず、何故バイトなのか?

何故コンビニなのか?

恵子と白羽の共通点は、社会が求める「こうあるべき姿」にそぐわないという事

♢18年コンビニバイト中心の生活を送っている恵子

「この年齢の人間がキチンとした就職も、結婚もしていないのはおかしいこと」なので、妹が考えてくれた2種類の言い訳を持っている

地元の友達には「 少し持病があって身体が弱いからアルバイトをしていることになっている。」
バイト先では「親が病気がちで介護があってアルバイトをしていることになっている。」

♢コンビニを見下し、バイト先で遅刻やサボり癖があり、態度が悪い白羽

頼っていた北海道の実家は弟が結婚して2世帯住宅になり、居場所がない。結婚せず稼ぎのない白羽は厄介者
店長が白羽に対して影で言っている言葉は・・・
「35歳でコンビニバイトは人生終了」「社会のお荷物」「人間は、仕事か家庭かで社会に所属するのが義務」

そして何と!

問題を起こし、バイトを首になった白羽は、恵子と奇妙な同居生活をスタート

「僕と古倉さんは利害が一致していますしね。このままここにいてやってもいい。」
「ほとんど、詐欺師をそれとわかっていて家に住まわせるような感覚で白羽さんを家に置き始めた」恵子
同居している事を知られたくない白羽だったが、恵子のバイト先に知られてしまう

周囲からの圧力は意図しない方向へ・・・

二人がお似合いだと勝手に盛り上がる周囲からは、結婚を促される

しかし、無職の白羽は恵子に心無い言葉を浴びせます

僕は婚活をしていて、あなたは僕の理想には程遠い

バイトのまま、ババアになってもう嫁の貰い手もないでしょう

俺は男だからまだ盛り返せるけれど、古倉さんはもうどうしようもない

それでも怒りというものを感じない恵子は、

「自分を苦しめているのと同じ価値観の理屈で

文句を垂れ流す白羽さん」

を冷静に観察するのでした

一見、同じ境遇の二人が、その後どうなっていくのか?物語はクライマックスへ・・・

周囲の祝福を受け、社会的に丸く収まるのか?それとも?

この物語を読んで考えさせられた事

子供の頃に自分の個性を否定されてしまった恵子が、社会の中ではみ出さずに生きて行くために最善を尽くし、ようやく見つけた「コンビニ人間」という道、それを理解しない世間の理不尽さ。

最初は社会との接点を持てただけで喜んでくれた家族や、長く勤め貢献してきたコンビニの仲間や地元の友人達も、ある年齢になるとその場所に居続けることをよしとしなくなり・・・

「このままじゃ・・・あの、今のままじゃだめってことですか?それって、なんでですか?」

婚活を強く勧める友人の配偶者に、恵子が言った言葉が、とても印象に残り、彼女の切なさを思うといたたまれない気持ちになってしまいました。

大学を卒業してもバイトを続け、一向に生活を変えようとしない主人公の周囲は、「普通」でない恵子を異端視し「治そう」とするのです。

世間に一人前の人として認められ、生きやすくなるには暗黙の掟に従わなければなりません。社会の中で異物認定されると排除されてしまうのです。

普通とは何か?「こうあるべき姿」とは?

「ある年齢になると、人は結婚をし、子供を設けるか、独身であれば正社員としてバリバリ働く。」

それが「普通」であり、世間一般の常識であるとされています。

「普通」からはみ出した人間に対する、一見思いやりある仕打ちがイキイキと描かれた物語に、衝撃を受け、あらためて考えさせられました。

世間一般が描く「幸せの形」に勝手に当てはめられ、イビツに否定されていく「ありのままの自分」はどうなってしまうのでしょう。

大人になり、ある年齢になると、誰もが少しは感じる疑問でもあるのではないでしょうか。

皆さんは、どう思われますか?

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芥川賞を受賞してからも、コンビニで働き続けていたという著者の村田沙耶香さん、コンビニで働いたことがある人ならではのリアルなストーリー展開も魅力的でした。

とてもオススメの本です♪

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