【ネタバレ注意】IQの高さと幸福度の哀しき相関性!世界的ベストセラー【アルジャーノンに花束を】あらすじ要約

ことり
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本作品は60年以上前に発表されたSF(サイエンス・フィクション)小説でありながら、今もなお読み続けられている名作です♪

アメリカで、SF・ファンタジー作品に与えられる有名な賞を2つ受賞!

1959年に中編小説として発表
→翌年ヒューゴー賞短編小説部門を受賞
1966年に長編小説として改作され、ネビュラ賞も受賞
【アルジャーノンに花束を】詳細を見る
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SFといえば、宇宙や未来がテーマというのが定番ですが、【アルジャーノンに花束を】は知能指数を高める手術と、それに付随するストーリーという異色なものでした

「アルジャーノンに花束を」は、どんな内容?(ネタバレ注意!)

大人になっても幼児の知能しかない32歳のチャーリイ・ゴードン👨は、パン屋の店員をしながら、知的障害成人センターに通っていた
賢くなりたい!!
強く願うチャーリイは、純粋な心を持つ優しい青年
ある日 担任のアリスから開発されたばかりの頭を良くする手術を勧められる
これを受け、彼は人間に対する初の脳手術の被験者に
動物として、先に手術を受け驚くべき記憶・思考力を発揮しているハツカネズミの【アルジャーノン】と連日検査を受けるようになる

脳外科医の博士からは、自分が考えた事、思い出した事、身の回りに起きた出来事について文章を書くように言われ・・・

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物語は、チャーリイ・ゴードン自身が書く「経過報告」として展開していきます

手術前からの「経過報告」は、「けえかほおこく」から始まる

誤字だらけの幼児のような拙い文で、時間をかけ周囲の事柄を描写していくチャーリイ
うまく文章が書けず、「もう考えられない、書くこともない」とイヤになってしまうが、賢くなって周囲に認められたいチャーリイは粘り強く続ける

脳手術は成功🎉→少しずつ知能が上がる⤴️

手術後、「けえかほおこく」が「経過報告」に変わる
報告内容は誤字が減り、徐々に高度で複雑なものに変化していく⤴️
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文章のスタイルは洗練されていき、思考の対象もより抽象的で複雑な内面の描写になっていきます

IQ68から、数か月でIQ185の知能を持つ天才チャーリイ👨になった!

パン屋の粉ねり機の生産性をアップする新方式を考案
労賃を節約、利潤アップが評価され昇給⤴️

一方で、孤独を深めるチャーリイ・・😢

自分の知能の低さが理由で、母親に捨てられたことを理解するように

仕事や学習能力がアップし、その面では楽になるのですが、過去の記憶がフラッシュバックし、彼を苦しめます

母ローズからの言葉

そんなもの捨てておしまい!アルファベットの積木であそびなさい!

チャーリイ、お手洗いへ行きなさい。パンツに漏らしちゃだめ

革のベルトで息子を打ち据え、折檻するローズ

けがらわしい!お前はまともな人間の仲間じゃないんだ

息子を悲しげに見つめる母の姿がよみがえり

過去からあらわれた影が私の足を掴んで引きずり倒そうとする・・・

叫ぼうとして口を開けても声が出ない

出典:『アルジャーノンに花束を』本文より

これまで友達だと信じていた仕事仲間からは

実はだまされ、いじめられていたことに気づく

ところが今は一転し、賢くなって めざましい成果をあげているチャーリイは、いじめから憎悪の対象になってしまいます💦

それまで見下していたチャーリイに、周囲が劣等感を抱くようになり、仲間からは疎まれ、

よりどころであるパン屋の仕事を辞めさせられてしまう
落胆しながらも

学習面は順調👍→第2の我が家となった大学の図書館に通い詰める

猛スピードで知識を吸収するチャーリイ💨
書物の1ページを吸収するのに1秒もかからない。
止まらない学習意欲!
フランス語、ドイツ語、スペイン語・・・ヒンズー語、日本語など数々の語学を習得し、物理学、地質学、経済学、変分法の初歩以上の数学、バナッハの代数、リーマン多様体、新ブール数学、ヒンズー教史、アメリカ文学、記号論理学、古語の語源研究を短期間の間に理解した
大学の学生たちの議論が初歩的過ぎて、何の興味も湧かなくなる
彼を研究対象にしていた博士や教授も驚愕!!

彼の知能は、猛スピードでその専門分野の研究者をも超えてしまう

まわりの皆は、彼を恐れるようになる
知性ある巨人と思い込んでいた教授連をただの人と感じるようになる

詐欺師だ

 

二人とも。彼らは天才のふりをしていたのだ・・・私が知っている人間はすべて、見かけ倒しだった。

出典:『アルジャーノンに花束を』本文より


高い知能と裏腹に、チャーリイの感情は幼いまま💦

天才的な知能とのバランスが取れず、人間関係は悪化⤵️

妥協を知らず正義感を振り回し、相手を論破
他人を見下す態度に、周囲の人間が離れていく

急成長を果たした頭脳は、人との健全な関係を築けないのでしょうか

教養を高め、知識を殖やし、自分や社会を理解したいと望むのがいけないことなんだろうか・・

チャーリイは苦悩します😢

あれほど望んだ高い知能なのに・・・

そもそも何故賢くなりたいと切望するようになったのでしょうか

「利口になりたい!」異常なモティベーションは母親の願いからだった

母親ローズは、

世間体を気にする神経質な女性

自分が良き妻であり母親だということを隣り近所に誇示するためにいつも働いていた

母親が闘っていたのは・・

子供が白痴という恐怖

罪悪感・恥辱

彼女にとって最も重要なのはいつも他人がどう思うかということ

彼女自身より家族よりまずは外聞なのだ
そしてそれを正しいと思うことだった

出典:『アルジャーノンに花束を』本文より

母の願い通り賢くなったチャーリイ・・最後に待ち受けた結末は!?

先に手術を受けたアルジャーノンに異変!奇行が目立つ様になる。それが彼の運命と重なり・・・
確かめたいことが山ほどある中、自分自身にも徐々に変化が訪れる
「母の問題を片付けないといけない」重要な問題の答えを得るために、すべきことを行うのだが・・

この物語を読んで考えさせられた事

善良なチャーリイは何故、人生を変えられてしまったのか?

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友達もいて、暮らしには困っていないけれど、頭が良くなりたいと切望していた理由は、利口でない自分を否定するお母さんの存在ゆえでした

脳の手術は、何をもたらしたのか?

理解する知能が備わったために、友達と思っていた仕事仲間からもばかにされていたり、母から疎まれ捨てられたことを知るという悪いことも起きてしまいます💦

尊敬していた教授も、実はモルモット扱いをしていたという事がわかり、脳手術の成功は、逆に彼を苦しめる結果をもたらしてしまいました

母親の影響力の強大さ

教授たちの知能を追い越す程、頭が良くなっても、幼少期のチャーリイは常に彼を見張っています

母を怒らせるような振る舞いをしようとすると、身体に異変が起こってしまうなど、日常生活は、なかなか順調にはいかないのです💦

彼を理解してくれた父より、否定した母親の影響は大きく、

精神的に、母親から自立することの大変さがわかります

知能・知識を高めても、報われないこともある

彼らが僕を変えた。僕に手術をして僕を違うものに変えた。 あんたがいつもそうしたがっていたように

母親に愛されたい一心で頑張ってきたことなのに・・・。チャーリイは哀しみながら、意を決して会いにいった母親に言葉をぶつけます。

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子供が母親が望む通りになっても、思う結果が手に入らない事があるのを知る痛みは、大人になるもどかしさと似ていますね

真の自立は難しい・・・

何が、誰が正しかったのか?

母親は良き妻であり母親という、世間からの認定が欲しかった
父親は、妻が息子に過度な期待をし、虐待を繰り返すことをやめて欲しかったが、止めきれなかった
教授連は、最新の脳外科手術で結果を出し、名声を得たかった
チャーリイを思う担任のアリスは、勉強熱心な彼の頭がよくなる様に手術を勧めたが、逆に彼に苦しみを与えたことに心を痛めた
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完璧に正しい人はおらず、完全に悪い人もいない

誰もが自分の行いを正しいと信じて行動しているのですが、

その歪みは弱者へ向かってしまいました

確かに母親ローズの子供への接し方は酷いのですが、それを知ったチャーリイは

「私が彼女を許さなければ、私が得るものは何もないだろう」と考えました

恨みを抱えながら生きるのは、ツラいですよね

いまだに解決されない社会問題が60年以上前の作品に集約されている

いじめ問題・家庭内暴力・母親から受ける精神的虐待・障がい者への差別・家族の問題
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誰もが加害者であり、被害者となる可能性を持っています

フィクションですが、実際に起こった出来事の様に感じるのは、

著者のダニエル・キイス氏が主人公と同じ特性を持つ少年の文章を参考にして、冒頭の文章スタイルを作っていったという経緯もあると思いました

「自分こそがチャーリイだと思った」世界中の読者から、著者へ多く寄せられた感想です

そして

ともに過ごしたアルジャーノンへの思いを花束に託すチャーリイ

誰もがずっと消えなかった彼の純粋な心に感動するでしょう。最後の場面に涙が止まりません。

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また時間を置いて、読み直したい本です

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